「刀豆の抗腫瘍作用に関する研究」
(江口文子、岡山県)

  1. はじめに
私は1977年以来、岡山県真備郡真備町において刀豆の栽培を行っている。 刀豆は熱帯アジアを原産とし、江戸時代初期に我国に伝来し、温暖な西日本に広く分布していた。 そして、若鞘は福神漬の材料として現在でも使用されている。 しかし、刀豆は4〜5mにも達する蔓性で多数の分枝を出し、生育期間が短いなど、その栽培の煩雑さや市場の経済性などの観点から生産者が激減している。 そのような中で私は刀豆の栽培を継承し、完全無農薬有機栽培により現在20アールの栽培を続けている。
さて、この刀豆栽培の遠因は、私が幼少のとき、実家の祖母が「なにか困った時は、刀豆をつかいねよ」と何度も言っていたことに発する。 祖母の言葉を聞いたのは小学校4年生の時だったと記憶する。当時は一体なんのことやら全く理解できなかったが、この祖母の言葉は以来、私の脳裏から離れることはなかった。
本格的に刀豆の栽培を始めたのは、1992年であったが、草丈や種子の大きさなどは以前から試し植えしていたので大体のイメージはあった。 飼肥の種類と量、支えとなる杭の打ち方、畝の幅、畝の高さなどは、県の指導を受けながら研究を重ねてきた。 しかし、この刀豆をどのように有効に利用すればよいのか、世の人々の健康保持や治療のために何らかのお役に立ちたいという素朴な願いを抱きつつ数年を過ごして来た。
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