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9.3. 薬剤効果の同等性の検証について(平均値の場合)。
医学と統計(7) (80) (81)投稿から。

2種類の薬剤について降血糖効果を HbA1c を指標に調べました.
投与前後の HbA1c の差(Pre-Post)について独立2群の平均値差検定( Student's t-test)で行い、次のの結果を得ました

例題1:2つの薬剤の統計量
A剤(対照薬): n=20 、mean±sd = 0.4±0.2
B剤(治験薬): n=30 、mean±sd = 0.5±0.3
t-value = 1.3073、p-value = 0.0987(片側)、0.1973(両側) 、Non-significant

以上の結果から、
A剤 と B剤 の HbA1c の平均値に有意差はないと判断されました.
しかし、
有意差のないことをもって A剤 と B剤 の効果は同じであると結論付け出来ません。
前項(9.2.)と同じく「有意差なし」とは同等を意味しているのではありません.
同等を証明するには、一つの方法として、前項の様に非劣性検証を行う必要があります.
例題1について言うなら、
A剤(対照薬)の 投与前 と 投与後 の HbA1c の差(凵jは
全平均で 凵0.7 の低下がみられましたので、その5% を凵0.035 とします。
meanB−( meanA− )

について、t検定 をおこなう必要があります.
非劣性検証では、
meanB− ( meanA− )=0.5−(0.4−0.035)=0.135

となります。すなわち、凾フ差をつけている分けです.

既平均値と既標準偏差からの t検定は下記の Web オンラインソフト を利用すると便利でしょう.
STATISTICA APPLETS
t test:Independent Group
Web online soft

このソフトはJAVA環境(IE ver7.0, IE ver8.0)が必要です。JAVA環境は下記URLを参考にして必要に応じてインストールして 下さい。
JAVA環境インストール

では、
早速データを入力してみましょう.次のように入力します.
M1=0.5、SD1=0.3、n1=30
M2=0.4-0.035=0.365、SD2=0.2,n2=20

出力結果は次の通りです.
t(48)=1.7649、p=0.042(片側)

95%信頼区間は次により計算すれば良いでしょう.
STATISTICA APPLETS の出力結果から、
SE=MD/t(48)=0.135/1.7649=0.0765
(M1−M2)±t(0.1,48)*SE=0.1±1.677*0.0765=−0.0283 〜 0.2283

以上の計算から、
−凵=|0.035<95%CI(Low)=−0.0283

よって、
HbA1c の投与前後の差は 0.035 以上劣ることはない、同等性が認められた.

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