(情報統計研究所)

気管支喘息の健康管理

気管支喘息(以下、喘息と云う)では、呼吸困難など患者の自覚症状の訴えによって治療がおこなわれており、多くの患者は喘息発作前段階の症状・徴候を把握できないか、あるいは喘息症状の馴れからくる放置がみられる。
とくに、小児では喘息に対する学習の理解が困難であり、家族の日常的な注意が必要とされる。
喘息発作の症状・徴候を早期に発見することができれば、大発作や発作の重積あるいは窒息死の予防に大いに役立つものと考える。
喘息発作の徴候は、末梢気管支での狭窄に伴う呼吸音の変化に現われる。しかし、呼吸音から喘息特有の連続性ラ音である高音性の笛様音(Wheeze)を聴取するには、専門的な知識と経験を必要とする。
しかし、血圧計が電子血圧計となりセフル・メディケーイションとして利用されるようになったことを考えるならば、聴診器も手軽に使用できることが望まれる。

図1は音響振動変換部(Mic)、帯域周波数フィルター(B.P.F)、増幅器(Amp)、波形処理回路(Full-wave rectifier)、低域周波数フィルター(L.P.F)、表示部(Display)、表示駆動部(Hold-worker)から構成される視覚化電子聴診器と伝える。

図1 喘息音を聴取する視覚化電子聴診器の構成図

これは右肩胛骨中央線上の肩胛骨下から末梢気管支のわずかな呼吸音の変化を捉え、その周波数成分を分析して、その強度(db)をLCDやLEDに表示し、喘息発作の準備状態を視覚的に認識するものである。
通常、健常者の呼吸音は500HZ以下で、その強度も-55db〜35dbであるが、末梢気管支の狭窄に伴い気流速度が増大すると、呼吸音の周波数成分は約800HZ以上に、その強度は-10db以上になる。
これは、末梢気管支での気道が細く容易に狭窄状態におちいり易い構造であることから、気道の抵抗を高め呼吸音に変化をもたらすことが考えられる。
したがって、この呼吸音の変化をLCDやLEDなどで視覚化すれば専門的な聴診技術を必要とせず、簡単な操作で呼吸音を把握することができる。
そして、呼吸音を電話回線などを通じ主治医に伝送(テレメトリー)して、呼吸音の変化を専門的に確認してもらい、あらかじめ定められた気管支拡張剤などの噴霧吸入や薬物服用などの治療あるいは、医療機関への搬送など適切な指示(テレメディシン)を受けることができる。
このようなテレメディシンは喘息管理の意識を高め、主治医とのコミュニケーションを良好にし、治療の効果を高めるものと考える。
喘息は可逆性の発作的変化を特徴とする疾患であり、その病態は複雑である。したがって、その治療は日常的な健康管理とセルフ・メディケーションに重点がおかれる。
セルフ・メディケーションにおいては、自己の病態を良く把握しておくことが必要である。
例えぱ、自己の病態がアレルギー型か、感染型か、あるいは混合型かなど、また病因性抗原や心因的要素などと共に、肺機能の成績や末梢血液中の好塩基球・好酸球の動態を喘息日誌などに記載して、喘息管理に役立てるべきである。
そして、喘息の日常的な管理とセルフ・メディケーションを通じ、呼吸筋や自律神経系の増強と生活環境の改善を積極的におこなうと共に、薬剤の効果的な使用を学習し、発作の予知と軽減を図ることこそセルフ・メディケーションの目的とするところである。

正常気管支呼吸音のスペクトル
気管支呼吸音.jpg

気管支喘息音(Wheezes)のスペクトル
気管支喘息音.jpg

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